手技療法で解消できる痛みとは?
手技療法で改善できる痛みには、大きく分けて次の2種類があります。
1. 酸欠からくる痛み
身体の組織が酸素不足になると、痛みを引き起こす物質が生成されます。具体的には、細胞壁の水素が剥離してアラキドン酸やプロスタグランジンが放出され、ブラジキニンなどの発痛物質が作られます。これらが侵害受容器を刺激し、脳に痛みの信号を送ります。
慢性痛が起こる流れ:
-
酸素不足 → 発痛物質の生成 → 侵害受容器の刺激 → 痛みの信号送信 → 痛みの慢性化
解決方法: 手技療法により、筋肉や関節の血流を促進し、酸素供給を改善することで痛みを軽減できます。たとえば、
-
筋膜リリース
-
ストレッチ
-
関節モビライゼーション
-
軽擦(マッサージ) これらの手技は、酸素不足による痛みの根本原因にアプローチします。
2. 記憶からくる痛み
長期間痛みを感じ続けると、脳はその痛みを「記憶」してしまいます。これを中枢性感作といい、脳内の痛みの伝達経路が強化されて、痛みが実際以上に感じられる状態になります。
解決方法: 手技療法だけでなく、患者さんに「良くなりそう」と感じてもらう情報を与えることも重要です。
-
「ここに来れば楽になる」と思わせる言葉
-
視覚的な変化の提示(姿勢の改善写真など)
-
信頼感の醸成(自信ある態度や説明)
これらの要素が、脳内の痛みの記憶を上書きし、回復を促します。
結論: 手技療法は、単なる体の操作ではなく、生理学と心理学の両面から痛みにアプローチできる有効な方法です。酸欠からの痛みを解消し、痛みの記憶を改善することで、慢性的な痛みからの解放が期待できます。